安全衛生ノート

〜脚立の安全対策(第7回)〜

平成26年11月

労働安全・衛生コンサルタント 土方 伸一

脚立に起因する労働災害の分析(第7回)

今月は作業形態別の安定性の解析を中断して、脚立作業における外力について考えていきます。

外力とは何か

2回は脚立作業において外力が加わったときの安定性を解析しました。脚立作業における外力とは何でしょうか。屋内・屋外での作業を考慮すると、外力としては次のものが考えられます。

@ 風圧による風荷重

A 他の作業者による力(押される、引っ張られる等)

B 作業者自身の重心移動

C 作業者が使用している機械・工具の重量による力

D 作業者が壁や荷物等を押す力の反作用

@〜Cがどのようなものかは容易に考えられます。ここでは、Dの力の反作用について考えてみます。

物体に力を加えると、大きさが同じで、力の方向が反対の力(反力)を受けます。これを作用・反作用の法則といい、力の作用を考える際の重要な原則です。

例えば、キャスター付きの椅子に座って机の端を押すと、椅子は反対方向に動きます。机を押したのと同じ大きさで反対方向の力が働いていることになります。

脚立における反力

脚立上で作業をする場合の反力はどのようなものが考えられるでしょうか。

 

1 棚の上に荷物を収納する                             2 ドリル作業

                    

 

 

 

 

 

 

 

 

棚の上の荷物を取り出すときは、力の方向は逆になります。

 

1、例2の場合はキャスター付きに台に乗っていたとすれば、作業者は矢印の方向に動きます。また、荷物の重量や、作業者の姿勢(前かがみ等)による重力も考慮する必要があります。

結論

脚立上で作業者が壁や荷物に加えた力と同じ大きさの反力が脚立に加わり、脚立を回転(転倒)させる力になります。脚立の安定性を考える上で、力と反力は重要な要素です。

次回は、再び異なる作業形態を想定して安定性(不安定性)を解析します。