安全衛生ノート

〜脚立の安全対策(第8回)〜

平成26年12月

労働安全・衛生コンサルタント 土方 伸一

■ 脚立に起因する労働災害の分析(第8回)

今月は比較的安全とされている作業について解析していきます。使用する脚立は、前回同様通称6尺の脚立です。踏みさんの幅は50mmとします。

 解析その4 脚立の上から2段目に立った状態での作業

1のように、脚立の上から2段目(天板のすぐ下)の踏みさん上に立った状態での作業について解析します。

ここでは、作業者の前方及び側方については、脚立と作業者は一体として、後方については、作業者単独であるとしての安定性を考えます。

図2

図3
図1

安定性の式を使って計算すると表のとおりになります。

作業状況

力の方向

tanθ0

θ0

力(F

力の大きさの比較

(安定状態を100

前方への安定性

後方から前方

0.30

17.1°

232N

128

後方への安定性

前方から後方

0.09

5.4°

71 N

40

側方への安定性

前後

0.14

8.0°

106 N

59

安定状態

左右・前後

0.25

15°

180 N

100

 

 

 

 

 

結論

この作業方法は、前方への安定性は高いものの、後方、側方への安定性は低く、とりわけ後方への安定性が低なっています。後方への墜落は後頭部を強打するおそれが高いことから、非常に危険な作業方法です。

一部の図書やメーカーホームページで安全な作業方法として推奨しているものもありますが、実は大変危険な作業方法です。

次回は、更に別の作業形態を想定して安定性(不安定性)を解析します。