安全衛生ノート
〜脚立の安全対策(第2回)〜
平成26年6月
労働安全・衛生コンサルタント 土方伸一
■脚立に起因する労働災害の分析(第2回)
今月は、墜落時の高さ、墜落時の状況を解析して脚立に起因する労働災害の問題点を探っていきます。(資料は厚生労働省データベースによる。)
◇解析その1……墜落時の高さ
死傷災害(平成22年) |
|
死亡災害(平成20〜24年の合計) |
||||
墜落高さ |
件数 |
割合 |
|
墜落高さ |
件数 |
割合 |
1m未満 |
116 |
18.4% |
|
1m未満 |
3 |
4.7% |
1〜2m未満 |
131 |
20.8% |
|
1〜2m未満 |
15 |
23.4% |
2〜3m未満 |
36 |
5.7% |
|
2〜3m未満 |
2 |
3.1% |
3m以上 |
14 |
2.2% |
|
3m以上 |
16 |
25.0% |
不明 |
334 |
52.9% |
|
不明 |
28 |
43.8% |
合計 |
631 |
100.0% |
|
合計 |
64 |
100.0% |
墜落時の高さと発生件数の関係は死亡災害と死傷災害では大きく異なります。死傷災害では1〜2m未満が最も多く、3m以上は2.2%に過ぎないのですが、死亡災害では3m以上が25.0%、墜落時の高さが判明しているものの中では、44.4%を占めています。墜落時の高さは高い方が危険だという当然の結論になりますが、1m未満からの墜落でも3件の死亡災害が発生していることにも注目すべきです。
※ 墜落高さは脚立上の作業位置と墜落最終地点の間の高さをいいます。(屋上に設置された脚立から地上へ墜落した場合は、「墜落高さ=脚立上の作業位置の高さ+屋上の高さ」となります。)
◇解析その2……墜落時の状況
|
死傷災害(平成22年) |
|
死亡災害(平成20〜24年の合計) |
|
|||||
墜落時の状況 |
件数 |
割合 |
|
墜落時の状況 |
件数 |
割合 |
|||
作業中 |
439 |
69.6% |
|
作業中 |
42 |
65.6% |
|||
上るとき |
18 |
2.9% |
|
上るとき |
2 |
3.1% |
|||
降りるとき |
118 |
18.7% |
|
降りるとき |
4 |
6.3% |
|||
脚立が倒れた |
34 |
5.4% |
|
脚立が倒れた |
3 |
4.7% |
|||
はしごとして使用 |
17 |
2.7% |
|
はしごとして使用 |
13 |
20.3% |
|||
その他 |
3 |
0.5% |
|
その他 |
0 |
0.0% |
|||
不明 |
2 |
0.3% |
|
不明 |
0 |
0.0% |
|||
合計 |
631 |
100.0% |
|
合計 |
64 |
100.0% |
|||
死傷災害、死亡災害ともに作業中に墜落したものが最も多いのですが、次に多いものは死傷災害では、作業を終えて「降りるとき」、死亡災害では「はしごとして使用しているとき」となっています。
「降りるとき」については、後ろ向きで降りるという作業姿勢の不自然さが影響し、「はしごとして使用」するときは、作業時の最大高さが2倍になることが影響しているものと推定されます。
次回は、使用している脚立の種類、負傷の部位についての解析を行いたいと思います。